高地トレーニング

 共通テストが終わり、生徒がそれぞれの受験校を決定してから数日、GHSは直前講習期間に突入しています。
 直前講習期間とは、共通テストが終わってから受験本番まで、生徒の受験校に合わせて、個人指導を行っていく期間のことです。
 この個人指導で、志望校の問題傾向、受験日までの自学自習の方針などを伝えます。受験までの自学自習というのは、あともう少しで合格ライン、という人にとっては文字通り合格を左右する最も大事な期間であり、普段は「物理は実力があれば大丈夫」と言っている私も(合格に必要なことはすべて教えたとはいえ)できる限りのことをしてやりたいと思うのが人情というものです。
 ところで、GHS物理の直前講習は、(よくある)生徒の志望校の過去問を解く・・・という安直な方法はとりません。
 なぜこの方法がまずいのか・・・ある受験生のたとえ話をしましょう。

 その受験生は、物理が苦手科目で、共通テストも平均点よりちょい上くらいの点。なので二次試験も物理問題の難易度が標準くらいの大学を選択します。
「物理は苦手だけど、平均点を取れば大丈夫・他の科目でリードしよう」と考えて、その大学のレベルに合った物理の標準問題を解きまくって本番に臨みます。
 しかし、不幸なことにその年に物理の問題の難易度が上がっていて、試験の緊張と合わさって頭がパニック状態、当然結果は不合格・・・。

・・・こんなことが起こりうるのが’本番’です。今年の受験生は共通テストのショックで免疫がついているとはいえ、それでもそうしたリスクは常に付きまといますし、もし想定通りの難易度だとしても、本番で練習の力がしっかり出せるとは限らないものです。

 ではどうするか?それが「高地トレーニング」です。
 生徒の志望校と、傾向が同じ・あるいは似ている問題で、かつ一段難易度の高い大学の過去問を演習するのです。

例えば志望校が筑波大学だったら○○大学、または○○大学。
例えば志望校が信州大学だったら○○大学。
・・・

 具体的な大学を指示するときは、大学の傾向・難易度に加えて、一年間付き合ってきた生徒の’キャラクター(どういう分野が得意・不得意、計算ミスをするのはどういうときに多いか・・・)’も考慮して選んでいきます。
 この方法は東大・京大のような正真正銘の最難関の大学には使えませんが(それらの大学ではまた違う方法がありますが、しかし今回のテーマから外れるので今は置いておくこととします)、さておき、この「高地トレーニング」では、受験本番の数日前まで、一段難易度の高い(高地)大学で(時間配分なども指示します)存分に演習し、それから志望校の過去問へ’降りてきて’数回の演習をした後に本番に臨むのです。

 こうした訓練をした生徒は、本番数日前に志望校の過去問へ降りてきた時に、「あれ、この大学の過去問はこんなに簡単だったっけ?」と思うはずです。息も吸いやすいし、パフォーマンスも訓練以前より出せる。
 この方法は、前述のように、本番の試験が難化した場合に備えられることのほかに、難化せず、難易度が例年並みである場合にも効果を発揮します。過去問を解いていた時の余裕・安心感が、本番での計算ミス減少、落ち着いて問題の全体像を把握しながら問題を解いていくことにつながります。
 全体像をつかみながら問題を解いていくこと、また計算ミスをしないことがどれほど大事かは、物理選択者なら皆わかっていることと思います。
 去年の4月から着実に物理の実力をつけてきたGHS生たちは、その実力が素直に出せれば志望校へ合格するラインに到達しています。
 後はそれを発揮するだけです。皆さんもしっかりと気持ちを整えて本番に臨んでほしいと思います。